魅惑のフェロモン♪

許されぬ恋 自然科学 動物 生物学 フェロモン ソデフリン 菊山先生 万葉集 額田王 大海人皇子
粋と浪漫と化学物質

茜さす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

紫草の 匂へる妹を 憎くあらば人嬬ゆゑに 吾戀ひめやも

 万葉集の有名な歌です。

 天智天皇の妻・額田王が『茜さす・・・』と歌って、返事に大海人皇子が『紫草の・・・』と

 歌ったという「許されぬ恋」の歌らしいです。

 ご存知ない方のがいらした意味がわからないと思うので、少しだけ解説します。

 私の解説なので、あまり深く突っ込まないでいただけるとありがたいです。

 さてこの歌、許されない恋の歌です。でも、若干事態は複雑らしい・・・

 額田王は、この歌を詠んだ時は「天智天皇の妻」であり、大海人皇子天智天皇の弟です。

 さらに、この額田王天智天皇の妻になる前には、大海人皇子の妻で、子供も儲けていたらしいです。

 おそらくあの時代、婚姻はいろいろな政略なども絡み合い、

 「好きだから」などと言って収まるものではなかった様子。離婚させれらたみたいです、たぶん。 

 当時の背景として、天皇家では端午の節句には薬草摘みをするのが習わしだったらく、

 その薬草摘みに出かけた先の出来事。登場人物は皆さまやんごとなき身分の方々ですから、

 その薬草摘み場を見張る(たぶん)「野守(家来)」がおりました。

 そんななか、前妻の額田王を見つけた大海人皇子は、

 草むらを右往左往しながら彼女に向かって袖を振ります。

 当時、男性が女性に向かて「袖を振る」ことは『求愛』を意味したそうです。

 それを見て額田王はこの歌を詠んだと!

 「そんな叢から私に向かって袖を振るなんて、野守に見つかったらどうするの」と。

 そしたら大海人皇子は「紫の(この辺が贈られた歌にかかってるってことでしょ?)

 花のように美しい君が人妻だからって憎く思うわけない(まだ恋しいよ)」

 って返したとさ!って話です。


 さぁ~て!実は、これは書きたかった記事の前振りです(笑)

 昨日私は「動物の科学」という専門科目の授業を受けておりました。

 動物の行動や進化、生殖と発生とかを勉強しておりますと、

 アカハライモリのフェロモンについての記載がありました。

 アカハライモリの雄は、繁殖期になると肛門腺からフェロモンを出します。

 そのフェロモンを嗅いで雌は雄の後をついて行き、

 雄が総排泄口から出す精子塊を雌の総排泄口に付着させ受精するらしいです。

 そして、そのフェロモンの名前が・・・・

   『ソデフリン』(sodefrin)

 というのです。このフェロモンのを発見され、命名されたのは当然日本人です。

 早稲田大学の菊山先生です。

 ここで、先ほどの「茜さす 紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る」が出てくるわけです♪

 あぁ~、なんて風流なんでしょ!粋なんでしょう!! 

 求愛行動(?)から発想されて、この命名センス。

 日本人ならではの浪漫です! この物質の発見も素晴らしいのはわかりますが、

 何よりこの素敵な命名…♥ なんて素晴らし感性でしょう。惚れてしまいます。




 さて、このフェロモン「ソデフリン」は、10個のアミノ酸からなるペプチドです。

 昔、アカハライモリは「媚薬」として用いられたこともあると聞きますが、

 この求愛行動のせいでしょうね(笑)

 おそらく雄アカハライモリを加工して、女性に飲ませれば「男の後を付いてくる」ってことですかね?

 うぅ~ん、ある意味これも浪漫かも・・・違うか????


 ちなみに、この「ソデフリン」はヒトには効きません!

 アカハライモリの雌限定で効果絶大です♪

 それはもう、その化学物質の作用により雌の脳は刺激を受けて行動を起こさずにはいられない!!

 思うわず好みのフェロモンを出す雄の後ろをついて歩いちゃう♪

 そしたら、知らず知らずのうちに受精して、赤ちゃんができちゃうのぉ~ いやぁ~ん(>▽<)

 

 私は・・・・莫迦なのか・・・・ うん、たぶんそう!

 でも、絶対忘れないこのフェロモンの名前!!「ソデフリン」!! 

 菊山先生最高です。あぁ~、なんて素敵なんでしょう? 動物行動学って・・・うっとり(〃▽〃)