『mol(モル)』ってなんだがモヤモヤするから説明してみよう!

物理学 理想気体 標準状態 アボガドロ定数 1mol 質量数 22.4ℓ 22.7ℓ 6.022×10^23 


物理や化学の時間に『mol(モル)』という単語が出てきます。
 
私にとって「mol」は、物理の時間に理想気体のところで出てきて、
 
最終的に量子の世界を勉強してると、アボガドロ定数の数値が理論的に
 
定まる過程がわかりったという感じです。
 
で、この「mol」は高校化学で初めて出てくるのかな? 高校物理でも出てくるのかな?
 
とにかく、この「mol」ってなんだか掴みどころのない感じしませんか?
 
「mol」が出てくると、大抵一緒に「理想気体」「標準状態」「22.4ℓ(22.7ℓ)」「アボガドロ数
 
「質量数に『g』を付ける」とか出てきて、何かモヤモヤしたものです。

そこで、私は『mol』が出てきたら…
 
数の単位だ! 「1ダース」と同じようなこと!!
 
と思うことにしています。
 
高校化学・物理の範囲では、この「mol」を数の単位と思って考えても、
 
大きく本質から離れて、問題が起きることはにはならないと思います。
 
1mol ≒ 6.022×10の23乗個の粒(原子・分子)
 
「1ダース」なら「12個」ですよね。「1モル」なら「約6022垓(がい)個」です。
 
要するに、『モル』は「ダース」と同じ概念で、人間が決めた「まとまり」の単位です。
 
具体的に数でいうなら、『約6022垓個(アボガドロ定数)』や「12個」になるという意味です。
 
すでに「垓(ガイ)」なんて数の単位は日常的でないと思いますが、「京」の上の単位です。
 
とにかくすごい数です。こんな多い数を一個一個数えてらんないでしょ?
 
しかも、molが対象とするのは、『原子や分子の粒』を数えることだから、現実的に無理です。
 
だから、「1mol」って単位にしたと思ってしまう。
 
だけど、これにはちゃんと理由があって、一つ一つの原子や分子の粒は、それぞれ重さが違うでしょ?
 
それを同じ数、つまりアボガドロ定数の数(約6.022の10の23乗個)だけ集めると、
 
どの分子でも原子でも、質量が元素表に書いてある質量数に「g」を付けたものと一致するからです。
 
つまり、水素原子を6022垓個集めると、約1g。これは元素表の質量数に「g」をつけた値と一致する。
 
酸素原子を約6022垓個集めると、約16g。これも元素表の質量数に「g」をつけた値と一致する。
 
炭素原子を約6022垓個集めると、約12g。これも質量数に「g」をつけた値と一致する。
 
水分子を約6022垓個集めると、約18g。これも質量数に「g」をつけた値と一致する。
 
どんな原子でも、分子でも、同じ数「約6022垓個(1mol)」集めると、
 
その質量数に「g」をつけた値が質量になる。
 
要するに、約6022垓個ってのは「1mol」ですから、
 
「1molの物質の質量は、質量数に『g』をつけたもの」になる。
 
(本質的には、この逆に考える方が正しいかもしれませんが、今はそこは無視。ごめんなさい。
 
 説明もなく『粒』と書いてますが、これはある性質を持つ最小単位の塊=1個の分子・原子の意味です)
 

 
で、何が便利かというと、1molの水を作りたいとき。
 
水素原子を約1杼2044垓個数えて、酸素原子を約6022垓個数えて反応させるは大変ですが、
 
水素を約2gと酸素を約16g用意して反応させると、ちゃんと1molの水分子ができるのです。
 
現実世界で使い勝手が良いので、人間が決めた概念『mol』は数の単位だと思っていいと思います。
 
 
 
もうひとつ、化学反応式でよく出てくる「係数」があるでしょ。あれが「モル数」を表しています。
 
たとえば、水は H2O ですが、このHの後ろの小さい「2」は、
 
水分子1個を作るのに必要な水素の数を表しています。酸素は1個でいいから何も書いない。
 
1個とか係数1とかは1という数字を省略するってが、数学をはじめとする自然科学の決まりです。
 
そして、水素と酸素は、各々の原子が二つくっついていると、自分の性質を安定的に保てるらしい。
 
だから、普通は「H2」「O2」と書かれていて、二原子分子といいますが、同じ原子が2つくっついて、
 
水素や酸素の性質を保って存在しています。
 
そこで、化学反応式ですが…
 
2H2 + O2 → 2H2O
 
となります。これは、二個くっついた水素分子2molと二個くっついた酸素分子1molから水2molができた
 
という意味です。なんで、2mol+1mol→2molなのか不思議だと感じますか?
 
全然不思議ではないのです。
 
だって、「mol」は粒の数です。水は、水素2個と酸素1個で1つの塊(粒)となり、水の性質を持ちます。
 
ということは、2molの水素と1molの酸素を材料にして出来上がる水は、2molです。
 
もっと簡単に考えましょう。
 
ここで、上の例を引用して、仮に『1mol』を「1ダース(12個)」と置き換えてみます。
 
すると、2H2とは、2個くっついた水素が2ダーズ。つまり、ばらして水素原子48個です。
 
O2とは、2個くっついた酸素が1ダース。一個ずつにばらして酸素原子が24個です。
 
これらを材料にしてできる水分子は、水素原子2個と酸素原子1個で1個の水分子ですから、
 
48÷2=24と24÷1=24なので、結局、24個の水分子ができて、24個を人は2ダースと呼ぶ
 
これだけのことです。この『ダース』と書いたところを「mol」に置き換え、
 
『12個』を「約6022垓個」と置き換えれば、普通の化学反応式の話になるわけです。
 
 
 
後は、理想気体の標準状態での体積が、原子や分子の種類によらず『22.4ℓ(22.7ℓ)』という話。
 
これは物理の方が関係があるのかも知れませんね。
 
気体というのは、英語では「Gas」です。普通気体を入れた容器が柔らかいと、
 
ぐいっと押す(圧力が高くなる)と体積が減るでしょ。要は、風船は押したら縮むでしょ、ということ。
 
あと、気体は温度の変化にも敏感で、冷たいと体積が小さくて、熱いと体積が大きくなります。
 
ピンポン玉が凹んだら、溶けない程度の温度のお湯に浸けると元の丸い形に戻ることがあるでしょ。
 
あれは、中の空気の温度が高くなり、体積が大きくなって凹んだところを中から押した結果です。
 
そこで、温度と圧力に敏感な気体を測るときは、国際的に決めた同じ条件で測りましょう!
 
というのが、標準状態の意味です。現在では、237.15K(0℃)、100000Paです。
 
教科書などでは、もしかると1気圧、0℃となっているかも知れません。
 
そうすると、この条件は、101325Pa、0℃(1997年以前の国際基準らしいです)で、
 
この条件で、理想気体1molの体積は、気体の種類によらず22.4ℓです。
 
どうして、気体の種類によらずどれでも同じ体積になるのか不思議かもしれません。
 
だけど、これも実は「1molに含まれる分子(原子)の数が同じだから」です。
 
要は、1つの粒(分子・原子)に与えられる部屋の大きさは粒の大きさや重さによらず同じ!
 
ということです。太っていても、背が高くでも、小柄でも、老若男女、誰でも1人づつ
 
同じ大きさのシングルルームが用意されているので、人数(モル数)が同じなら、部屋の総体積は同じです。
 
実は、分子や原子は、いつもものすごい勢いで動き回っています。
 
その動き回る勢いは、熱いと勢いが良くて、冷たいとゆっくりになる性質があります。
 
また、圧力が高いと強く押し返そうそうと頑張るし、低いとあまり押し返そうとしないという性質があります。
 
だから温度と圧力が決まると、1粒の分子が動き回れる平均的な空間の大きさが決まります。
 
これを人は「体積」と呼ぶ。でね、普通に生活してても経験できることですが、
 
軽くて小さいものは、力を入れて押すと勢いよく動くけど、重いものは同じ力で押してもなかなか動かないし、
 
動き出してもゆっくりしか動かないでしょ。
 
この時の「押す力が同じ」という条件が、理想気体に対する「温度と圧力」です。
 
上で、1粒に与えられる部屋の大きさが同じだと書きましたが、
 
実は、同じ条件で、1粒が動き回れる平均の空間体積(部屋の大きさ)が同じなのです
 
同じ条件(圧力と温度が同じ)なら、重くて大きい分子は、小さくて軽い分子より動きがゆっくりです。
 
そんなこんなで、どんな大きさでも重さでも、1個の粒が動き回る平均的な体積は、
 
温度と圧力の条件で大きさが決まるのです。
 
条件が決まる、1粒が動きまわる体積が決まる、あとは粒の数が決まれば全体の体積は決まるでしょ。
 
だから、1molの理想気体の体積は、種類によらず、同じになるのです。
 
ちょっとはヒントになったかしら?
 

 
もう一つモヤモヤするのが「質量モル濃度」ですが、これはまぁ、もし、万が一、ご要望があれば説明します(笑)
 
 
 
この説明が少しでも誰かのお役に立ったらいいなぁ~